グラスマンの書いた外延論の2つ目の教科書(1862)。
その大筋を把握したいと思ったのだけど、一個一個の記号は簡単そうなのになかなか頭に入ってこなくて難しい。
本書はpart1とpart2に分かれていてpart1の前半ではベクトル空間の基礎の事項がまとめられていてその後半ではベクトル同士の積の探索が行われている。part1のデザートは幾何学への応用だけど解説によるとこれはそんなに意義がないらしい。
part2ではベクトル値の関数の微積分について何やら論じられている。完全形の微分方程式とdfやdxが出てきておおと思ったが、まだベクトル解析や微分形式には到達していないようだ。もちろんその萌芽ではあるのだろう。
この外延論の系譜としてはホイットニーの幾何学的積分論、フェデラーの幾何学的測度論がある。積分論の方では目的はドラームカレントの理論の双対だったらしいが、測度論で不可欠のmassノルム等が導入される。測度論の方ではこのノルムを使ってプラトー問題のよい弱解が得られる。またフェデラーの講義ノートでは図形を測度と矢印のペアと思う視点がポイントだと述べられていた気がする。このような幾何学図形の弱解の研究はルベーグの学位論文が最初だろうか?
そしてこの測度付きベクトル値関数としての図形の表現にさらに幾何構造を付与したのが、サリバンの凸錐構造についての論文やハーベイ・ローソンのキャリブレーションの論文だと思う。