何も誇れぬ人生の記録

『ぼくは何も誇れないのが誇りだな』沼田真佑、影裏より

創作論

フレーズとしての世界、あるいは論理

最近、論理ってどうしたら学べるのだろと思って何か良い記号論理の本はないかと探していた。それで図書館でちょっとした記号論理の本や論理パズルの本を借りてきた。 しかしそういう本の中の形式やパズルゲームを論理と呼ぶのだろうか。 たしかに論理をごく…

小説入門 保坂和志

書きあぐねている人のための小説入門 風景を書く ストーリーとは何か 以外。

記憶力の文学に挑むものたち

脱構築とは、これすなわち記憶力の暴力である。 構築を否定し、なんでもかんでもandandandと際限なく繋げて並べていくのだから、そこには軽薄な差異と想起のダンスしかなくて、ただ単に記憶力がものをいう。 現代流行のこのポストモダン文学とは、記憶力の文…

文学作品の雰囲気と哲学的ベース

文学作品にも、英米哲学や大陸哲学といった哲学的基盤があるのではないか。 例えば、フローベールの作品に何らかの倫理的な指針のようなものは見当たらずそこにあるのは徹底した(時代や感情の)明晰化と分析であるので、これは英米哲学の先駆けと言える。 一…

読むときは広く、書くときは狭く(実践小説教室、根本昌夫)

その場面にあるものだけを、知っているものだけを書く。 とってつけたようなことや、説明は書かない。 場面を深読みする描写はよい。(マンスフィールド) フローベール が喝破したように、小説とは紋切り型との闘い。

映画と小説における文法的な区切り

映画 カット(ショット)……カメラのスイッチを入れてからスイッチを切るまで。 シーン(場面)……いくつかのカットのまとまり。基本的に場所で区切られる。 エピソード(小話)……いくつかのシーンのまとまり。 シークエンス……いくつかのエピソードからなる意味のま…

平野啓一郎の読書ノート

小説を主語述語修飾語独立語接続語といった基礎的な文法レベルまで解体して分析する読み方が面白い。基本的に作品は主語と述語の連続であり、その述語が状態の説明か動作の描写であるかで、主語と述語の間の方向性が反対になる。例えば、ハツは、、、、とく…

フィクションの類型についての仮説

純文学でもラノベでもその物語の類型をたどっていけば、大元は同じであると思う。その作品の中で主人公はある物語の続きを生き始めるが、その続きが彼の精神の変化あるいは変調によるのなら純文学であり、世界の方が入れ替わったことによる場合にはラノベに…

21世紀の文学とそのための学び方

これからの文学に求められるのは、こだまの沈黙というアイロニーである。こだまというのは意識に響き渡る自分の心の声だ。ヴァレリーはある詩の中で、彼方へみみをすませば、彼方もこちらへみみをすますのだ、と歌った。 作品とは、性能の悪い一個の受信器で…

古井由吉(ふるいよしきち)さんの対談

youtubeにあったやつ。 小説とはnobelと書き、その字義からも作者の独創性による新しい説でなければならない、と考えそうになる。しかし、それは実のところまったくもって逆なのだ。 そもそも独創性 originality という言葉自体の中に origin という起源を表…

フローベールとロランバルト

フローベールの残したテクストの内にあった哲学的な側面が、ロランバルトの記号論に発展していったのではないか。 とくに紋切り型辞典はバルトの神話作用に影響を与えたのではないか。 ロランバルトによれば、故事成語や小説中の風景描写といったものも、単…

自分にとってのフローベール

これ以降、彼ならどう描いたか、を考えることが自分に取っての一つの基準になる。

数学教育とは

大学院に入るとまず、学ぶべき言語を選択してその文法を学ぶ。 これは日本語の国文法を学ぶことと同じだ。ただし、数学を記述する言語は形式言語なので、日常で使う自然言語と違い、その文法を自覚的に学ぶことで始めて自分でも書けるようになる。小説でも日…

風景描写が要

小説は風景描写が要。ボヴァリー夫人でもそうだが、心理描写とは風景描写と等価である。現実の風景を描くのではない。そのときどきの心象に沿った特別な情景を描くのだ。

物語ることの反省

登場人物に自分を反映させるのではなく、登場人物に入り込んで、その人を描き出すこと。そのことの愛情。

論文を書くように

フローベールは論文を書くように小説を書いた。 資料を集めながら章立てを考えて、その章の中をパラグラフライティングで埋めて、推敲を重ねていった。

出来事の文学と表象の文学

前者はアメリカ文学に多い。例、オースター、ヴォネガット、ブコウスキー、チャンドラー。 後者はフランス文学に多い?例、フローベール。 この世界で人間が体験するものは、出来事と表象でどちらも対等だと思う。しかし自分が好きなのは表象かな。表象を描…

小説の構造

小説は、『説明』『描写』『会話』の主に三要素から構成される、と言われているらしい。(出処不明、作家でごほんより。プロット、文体、会話からなるとする視点もあると思う) このうち、会話が何たるかはいいとして、説明と描写の違いは何か。まず辞書を引い…

会話文について

1 鉤括弧「」の前の導入文は極力書かない。 2 鉤括弧「」の後に「と、○○」という形で息継ぎが必要なくらいなら「と、」を省く。 3 鉤括弧「」の後の短い「と彼が言った」などは書いてもいい。