何も誇れぬ人生の記録

『ぼくは何も誇れないのが誇りだな』沼田真佑、影裏より

フローベールとロランバルト

フローベールの残したテクストの内にあった哲学的な側面が、ロランバルト記号論に発展していったのではないか。

とくに紋切り型辞典はバルトの神話作用に影響を与えたのではないか。

ロランバルトによれば、故事成語や小説中の風景描写といったものも、単語よりは高度な次元での記号とみなせる。神話とは言葉(記号)である。

ここで記号を形式化とか紋切り型といったネガティブな意味で捉えてしまいそうになるが、記号論においての記号とは言葉や言葉からなるものそのものであり、より深い意味を持つことに注意せよ。