何も誇れぬ人生の記録

『ぼくは何も誇れないのが誇りだな』沼田真佑、影裏より

赤川次郎 血と薔薇

(はじめ)

最初の数段落で登場人物とその関係性が鮮やかに紹介されるのは見事でした。

(おわり)

ひとだんらくと思ったろころで、女のあれっとなるセリフ。無理心中させられたことに気づいて終わる。ホラー。

青山文平 飛ぶ男

(はじめ)

舞台となる地域の川の話から入ります。

(おわり)

なにやら人生訓めいた語りでした。歴史小説にはよくあるのでしょうか。

砂川文次 小隊

(はじめ)

うまいと思う段落でした。女性と同輩と自分の対面する場面の印象が残る。女の彼らにとっては貴重なエロさも際立っていました。

(おわり)

生き残ったんだ、という喜びとともに生命の放出がありました。

千葉雅也 デッドライン

(はじめ)

小説らしくしようとしている感じがあった。頭で書いてる感じでつまらない。取ってつけたような、というんだろうか。

(おわり)

思い出せない。

綿矢りさ 勝手にふるえてろ

(はじめ)

なんなんだこの独白は。全部面白い。両隣の乙姫のユニゾンにまぎれて変態である自分は乙姫を使わずに無修正をぶっ放す。蹴りたい背中がもっと自由な意識の表現を手に入れた感じ。

(おわり)

最初の暗示、イチ彼とニ彼の伏線が回収されるエンド。この優しさは、悪くない、という最後の一文にほろりときた。